電気保安外部委託の市場価格と相場理解と値段の決め方

価格

こんにちは、でんますです!

今回は、電気保安の外部委託費用に関する説明動画の下書きということで先にブログ記事にてお話ししていこうと思います。

Xでちょくちょく料金や相場、値段の決め方がよくわからないと言ったご質問を最近いただいたり見かけたりといったことがあったのと、つい先日僕の方にもなかなか悩ましい案件がきたりしたのでそもそも知らないと断るにしろ受けるにしろ困るんじゃね?と思いました。

実際、さあ独立しました!自分のサービスの料金いくらにする!?みたいなこと言われても、今までサラリーマンだったしこんぐらいかな…でしか決められないですよね。僕もそうでした。

情報として手元に入ってきて実際反映するまで半年はかかりましたが、これは人によって違うと思います。面倒見のいい先輩とかだとすぐ教えてくれる気がします。

ということで、順番に解説していきますので最後までお読みいただけるとありがたいです!

市場価格とは

まずは事前知識として、知ってる知らない様々かと思いますが市場価格というものについて説明していきます。

お客様に提供する商品やサービスの値段は、会社によって値段が決まってるものですが独立して経営者になると自分で値段を決めなければならなくなります。

儲けたい!と思って高すぎる値段にしても売れないし、どうしても売りたい!と思って安くしすぎても利益がなくなり赤字になってしまったりします。

ですので、ちょうどこのくらいだと利益もそこそこ出るし、ほどほどに売れるという価格を把握して値付けをする必要があります。

今までまったくなかった物を世に出すという場合を除き、基本的には世の中のライバル商品やサービスと同じくらいの値段になるよう値付けしていくことになります。

これを色んな会社や組織、個人事業主等が行うことで平均化された価格のことを『市場価格』と表現します。

そして、この市場価格は需要と供給により価格が変動していきます。

需要とは、ある商品を買おうとすることであり、供給とは、ある商品を売ろうとすること。例えば、今回ご説明する電気保安管理の外部委託の価格については、需要があるが人員がいない(供給不足)だと価格が上昇し、需要がないのに人員が過剰である(供給過多)だと価格は減少していきます。

そしてこれがバランスよく均衡すると、この市場価格は安定していると言える状態になります。

需要と供給wikiより引用

反対に市場価格がバランスを崩すとどうなるのか?というと、そのバランスを崩した原因を作った会社または組織が一時的に得をしたりします。

例えば値下げしてお客様を増やしたい!ライバルから乗り換えてほしい!と考えた場合、うちは周りの価格の半値でギリギリ利益出るから、この値段でやりますよ!とお客様に言ったとします。

そうすると、安い方が嬉しいお客様はある程度安いところに流れていき、市場価格の中に安い価格帯と適正価格帯の2つが混在するようになります。

当然、この安い価格が増えれば増えるほど適正価格帯は安い価格帯に近づくようにどんどん値下がりし、いつかは値下がりした状態が均衡した価格となってしまい、業界全体が損をしている状態になってしまいます。

安くすればその分利益が減りますので、仕事を真面目にしなくなったとか、高価な機材を揃えられず技術者の点検の質が下がった、といったことが起こることも考えられます。やってられるか!と現役技術者の引退やイメージダウンによる人員不足なども懸念されています。

さて、そんな保安管理業界ですがなぜこんなことになっているのか? 価格を決める上では欠かせない市場価格と料金相場を確認する前に、少しだけ過去を振り返ってみましょう!

保安点検費用の歴史

その昔、電気の保安管理は下記2箇所でしか実施を認められていませんでした。

①電気管理技術者協会等の団体に所属する個人事業主
②関東電気保安協会などの一財と呼ばれる法人組織

①と②はお互い持ちつ持たれつ、人員の手配なども含めて市場価格を壊さないように調節しながらうまくやっていたそうです。

その当時、個人事業主で33点の満点所持で年3000万もの売上があったとのことです。 月で言うと250万、点数単価75000円にもなります。すごいですね。

ですがそんな業界に目をつけた会社がありました。

つながりや縁故などで仕事を取るのが普通の業界で、ゴリゴリの営業会社が乗り込んできました。当然揉めに揉めましたが太刀打ちできなかったらしいですね。

その会社は政治界や経済産業省にも働きかけ、その結果所定の要件を満たしたら他の法人もやっていいよと国がお触れを出したのが2004年、端的に言うと外部委託の自由化がなされ保安法人立ち上げラッシュが始まりました。

以降安さが売りの会社がどんどん出てきて、安くしてることで技術者の利益も大幅に減り、市場価格の崩壊が始まりました。

それから19年、点数単価は25000円でも場合によっては高いと文句を言われるようになりました。かつて、年3000万あった売上は年1000万まで低下し当時の1/3まで落ち込んでしまったのです。

そんな昔を知っている電気管理技術者は相場をめちゃくちゃにしたその会社を恨み、絶対に関わりたくないと誰もが口を揃えて言ってます。

ということで、現在は下記の3パターンの外部委託先があるということを覚えておきましょう!

①電気管理技術者協会等の団体に所属する個人事業主
②関東電気保安協会などの一財と呼ばれる法人組織
③一般的な会社が作った法人組織(現在関東では公表されているもので200社くらい)

後の説明のために、上記を簡略化します。

①管技
②保安協会
③保安法人
ちなみに問題の激安保安法人ですが、地域によっては力が足りずシェアを奪えてなかったりするようです。
ですので、上述した価格の低下が起こっていない地域もあるので、そこだけご注意いただければと思います。

相場とのお付き合い

相場をなぜ理解しなければならないのか?というのはすでに説明した通り、市場価格の低下による業界関係者全員の共倒れを防ぐため、ということになります。

必要以上に値段を下げず適正価格でサービスを提供することで、同業者みんながビジネスをしやすい環境になり、成り手の増加などにも繋がるかと思います。

また、外部委託等に含まれていないような作業でも、相場というものは重要となりますね。

外部委託契約に限らず、耐圧試験を依頼されたらいくらぐらいが妥当か?年次点検は?ちょっとした小修繕なども把握しておいて損はないです。

お客様にもコミュニケーションの中でお金の話は頻繁に出てきますし、そこで即答できるようになると頼り甲斐がある技術者と思われるようになります。

さて、そんな相場に関してですが独立初期ではまったくわからないわけで、僕は行き当たりばったりで値段を決めたりしていました。

そのうち先輩方とお話しするときに、どれくらいで受けてる?と聞かれるようになったので、その時に確認して修正していました。 それは流石に安すぎるよ!とか、取りすぎると解約させられちゃうよ!とかアドバイスいただけたので、その情報を元に自分の価格を調整して決めていきました。

関東では保安協会の価格を目安に調整する方も多いようで、それを見ていくと大体点数単価25,000円〜35,000円が妥当と言われているようです。

点数単価25,000円で33点だと月825,000円の売上なので年990万円になります。ですので、一つの到達点としてこの点数単価を目指す人が多いかと思います。先輩で割のいい物件を多く持っていると、点数単価34,000円くらいで月1,122,000円の売上となり年13,464,000円になり全然違うことがわかります。

あとは現場の状況によりけりで、少し高値にするとかお断りするとか決めていく感じのようです。

僕のケースで言うと、大まかな単価は上述した通りで耐圧竣工等であれば最低10万、年次点検は委託料の3倍くらいで請求させていただいてます。

相場については本当に地域差が出るので、僕の事例については全て鵜呑みにせず必ず同じ地域の先輩などに聞くようにしてくださいね!

保安法人の価格例

ここからは全て例え話になります。

具体的な価格帯の参考値として下記のような感じで200KVAで比較すると、技術者に支払われる金額は次の通りとします。

設備容量200KVA
0.8点(隔月0.48点)
 

A社:4,500円 年次10,000円
B社:4,000円 年次10,000円
C社:9,000円 年次含む
D社:6,000円 年次含む
E社:15,000円 年次含む
個人:14,000円 年次50,000円

※あくまでも例です。個人の部分は僕が受けるならこのくらいの価格で出します。

点数単価でみると200KVAは隔月12000円は欲しいところで、これに年次点検費用を込みにするか別にするかお客様によって変えてます。

お客様の状況によって、供給が足りてない(全然技術者が見つからない)のであれば。少し高めに出します。現場に怪しい部分や問題があるときは、相場の1.5倍もつけたりして断られるならそれでもいいという気持ちで出します(大体通ってしまいますが…)

これで極端に安くして契約したい!と考えて、例えばわいは6,000円でやります!って言うとどうなるか…まあ半額なんで安いですよね。

一度これをやるとあの人はこの値段でやりましたよ、だからお前もできるだろ?というお客様が生成されます。で、お前勝手に安くしすぎて迷惑なんだが?とか同業者に言われます。いいことは何もないです。そして、こういうお客様を増やしてしまうと長い目で見ると市場価格が下がります。だからやってはいけないのです。

安いお客様は今も業界に多くいらっしゃいますが、その安い相場の中でグルグル回ってます。なんか気に入らないことがあっても激安保安法人から別の激安保安法人へ移動するだけです。こうなると、保安管理料の基準が変わってるので管技や保安協会の値段に戻ってくることはよほどのことがないとないです。

運悪く安くしたいお客様に当たってしまったら、まずは適正価格で見積りを出してみるといいです。それで音信不通になったらそれまで、もう少しどうにかならん?って言われたらもっと安いとこいっぱいあるので他当たってくださいで逃げるといいと思います!

ところで、保安法人はこんなに安くして大丈夫なの?と心配したくなる気持ちもあるのですが、値下げ戦略というのは少ない顧客に対して行うと破綻しますが、保安法人のように多くの顧客を抱えていると比較的安定するようです。

管技は1人33点しか受託できないのに対し、保安法人は人さえいれば上限がないので1社で1000件とか持ってたりすると平均1件10000円としても月1000万も入ってきます。

別に適正価格の25000円じゃなくても、10000円で利益十分だし安くした方が契約できるからヨシ!という思考回路だとすると、わかりますか?保安法人は①②と競ってるのではなく、同じ保安法人とお客様の奪い合いをしているのです。なんだか、一見住み分けしてるようにも見えますよね。

ですが、業界を大きく見ると①②③は同じ桶の中にいるわけですから、安くする保安法人が多く存在すればするほど市場価格は低下していくことになるのです。

まとめ:電気保安外部委託の市場価格と相場理解と値段の決め方

技術者に必要なのは、とにかく仕事を安く請けないことにつきるのですがそうはいっても最初は仕事ないししょうがなくない?という気持ちもあります。

現に僕も安定させるまではと割り切り、保安法人との契約からスタートし個人の物件を徐々に増やしている感じです。

これからまだまだ多くの保安法人が生まれてくる中で、激安ではない適正価格帯で勝負してくる保安法人が生まれ、独立初期にそういった法人だけと関わり助けてもらいながら物件を増やせるようになれば一番いいのではと思います。

激安保安法人は、制度上そこに技術者がいなければ物件を増やせないので、とにかく関わらないようにすれば自ずと市場の正常化が進むのでは?と考えてはいますが、お客様の方も出来るだけ安いところと契約したい層が一定数いるのでなかなか難しいのかもしれませんね。

ということで、ここまでお読みいただきありがとうございました!

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